2007年10月24日

視覚:細部を見るために小刻みに動く目

 我々が何かを注視しているときに生じる眼球の無意識な微動、或いは、「網膜のゆれ(retinal jitter)」は注視時眼球運動とよばれ、この動きの機能については、1950年代にこの現象が最初に認められて以来、いまだに議論が続いている。

 Rucci らは、心理物理学的な実験と統計解析を組み合わせて、眼球運動の視覚への影響を相殺するような視覚シグナルについて調べ、この眼球運動がなければ、きめ細かな情報の知覚が減退することを示した。

 したがって、注視時眼球運動は、視覚情報の詳細を抽出するために脳がとっている戦略の一部であると考えられる。

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宇宙:火星の奇妙な海岸

 火星に海が存在したかどうかは、誰でも思わず釣り込まれるような話題である。

 火星の平原を数千キロメートルに渡って取り囲む地表の一連の地勢が、昔の海岸線の名残であると説明されたとき(海岸線仮説)は、すべてが解決したように思われた。しかし、総礼された海岸線に沿った地形の輪郭から、標高が極めて長い間隔で、波のように上下しており、その上下の変化幅は最大で数キロメートルに及ぶことが明らかになった。このことから、海岸線仮説の反証として論じられてきた。

 しかし、今回、海岸線説が見事な復権を果たした、という。

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物理:反強磁性を自在に制御する

 強磁性体はどこにでもあるが、強磁性という性質自体は稀なものである。その近縁にあたり、もっと不思議なものが反強磁性体で、これにはさらに多く見られるが、この性質が知られたのは100年足らず前で、技術関連で問題とされ始めたのは20年ほど前のことに過ぎない。

 その理由の1つは、強磁性磁区の類似物、つまり強磁性体を分割してできる小さな棒磁石に相当するものが得られないということである。

 今回、X 線光子相関分光法という新しい技術を用いて、クロムの反強磁性体におけるスピン密度と電荷密度の超構造をナノメートルスケールで調べることが可能となり、実験が行われた。

 この結果から、反強磁性体の幅広い応用への道を開くエンジニアリング技術が生まれるかもしれない。

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2007年10月23日

地球:地震の新しいカテゴリー

 全地球測位システムなどの技術的進歩により、比較的長期で珍しい地震現象が数多く見つかっている。

 これらには、深部低周波微動、低周波地震、スロースリップ、「サイレント」地震などが含まれる。

 井出らは、主に西日本のデータに基づいて、このような振幅の小さい地震過程の規模と継続時間の「ゆっくりとした」地震現象が単一のスケーリング関係に従うことを報告している。

 この関係は、このような地震が、もっと激しく瞬間的な「普通の」地震とは明らかに性質が違うことを示している。

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脳:無意識下でのネットワークづくり

 脳が休んでいる間、神経ネットワークを何をしているだろうか。

 実は、脳が休んでいる間はアイドリング状態になっており、神経回路では自発的な変動を起こしている。

 ヒトの脳では既に研究によってわかっているものであるが、サルの脳にも同じような動向が見られるという。

 霊長類では、これらのネットワークの一部は深い麻酔をかけた上体でも、高度に組織だった活動パターンを示すことがわかった。


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細胞:世界中の光を集める

 植物、緑藻類、シアノバクテリアが行う酸素発生型光合成は、地球上のすべての高等生物に直接あるいは間接にエネルギー供給(受け取り)をしている。

 反応中心と集光性複合体を含むタンパク質超複合体である光科学系 I (PSI) はこの過程にかかわっており、エネルギー補修ではスーパースターのような存在に位置する。

 PSI は自然界で最も効率の高い光化学機械であり、吸収した光子のほぼすべてが電子伝達系を駆動するのに使われる。

 今回、植物の PSI の X 線結晶構造が分解能 3.4 Åで決定され、17個のタンパク質サブユニット、168個のクロロフィル、2個のフィロキノン、3個の Fe4S4 クラスター、5個のカロテノイドが明らかになった。

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2007年10月22日

遺伝:メダカゲノムの概要塩基配列

 メダカ(Oryzias latipes)は、日本では一般家庭で飼われてきた魚だが、最近では、発生遺伝学や進化生物学の実験モデル生物にもなっている、という。

 今回、日本の大規模なコンソーシアムによって、メダカのゲノム塩基配列が解読され、分析された。

 脊椎動物の種分化の遺伝的基盤を解明するための新しいモデル系であるシクリッドやトゲウオは、進化的にはゼブラフィッシュよりもメダカに近縁であり、そのため、メダカのゲノム塩基配列からは脊椎動物の4億年のゲノム進化についての貴重な手がかりが得られると考えられる。

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生態:水不足の熱帯

 熱帯雨林は地球上で最も多様性に富む種類の植物群集であり、その生態系が持つ様々な機能を(そこに集まる生物種だけでなく)人間にも提供している。

 そのため熱帯林には政策立案者から環境保護団体まで、多方面からの注目が集まっている。

 今回、熱帯林に関して一般的な「湿潤な熱帯林には全般に水分がたっぷりある」という前提に疑問が投げかけられた。

 パナマ地峡全域の種分布パターンの評価により、こうした熱帯林の植物群集の構造が作られる上で旱魃が大きな役割を担っていることが示されたのである。

 したがって、気候変動や生息域の細分化によって、土壌成分の利用可能量が変化すると、熱帯の種は大打撃を被ると考えられる。

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2007年10月21日

進化:ダーウィンの「競争」説に終止符

 生物学界の中でも特異な世界といえる、ダーウィンの進化論についての学者たちの討論。それはあたかも、かのアインシュタインがそうであったように、ダーウィンが挙げた説について集中的に(他説を信じる者はダーウィン説を打破するために、ダーウィン説を信じる者は守るためだけに)激しい論争が行われており、それは特殊な世界となっている。

 議論が過激な論争に落ち入り易いためか、著書「利己的な遺伝子」で著名な分子学の見解で説を唱えるR. ドーキンスが、近年の著書でダーウィンの擁護に回るものが数冊もあるほどの異様ぶりであるので、これを書く著者は、nature誌を読んでは引いてしまうため、詳しく調べていない。

 今回、ダーウィンが唱えた「競争」説についての根拠が得られ終止符が打たれたらしい。


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地球:マントルの再循環

 地球の火山活動の地震活動は地球内部の活発な活動を表しており、地表の海洋プレートがマントルを通して再循環していることを示しているが、この過程の性質と時間スケールはよくわかっていない。

 このような深部での再循環の程度を絞り込むために、Turner らはアゾレス諸島で得られた玄武岩中の同位体含有量の分析を行った。

 その結果から、アゾレス諸島の玄武岩の一部はメルトと流体が枯渇した少なくとも25億年前のリソスフェアマントルに由来するが、その他は、メルトに富んだおよそ30億年前の玄武岩に由来する部分を含んでいることが示唆された。

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