2010年09月21日

宇宙:初期宇宙のクエーサーをとらえる

赤方偏移 z≈6 という、宇宙が 10 億年よりも若く、現在の年齢のわずか 7 %だった時代に位置するクエーサーは、 40 個以上発見されています。

意外なことに、これら遠方のクエーサーの性質は、もっと赤方偏移が小さいものとほとんど区別が付かないようにみえるので、進化した天体であると考えられてきました。

今回、 z≈6 にある、高温の塵からの放射を伴わないクエーサーの 2 個目が発見され、また他のクエーサーから、高温ダストは中心のブラックホールの成長に連動して蓄積することを示す証拠が得られたので、これらの極めて遠方にあるクエーサーは、実際に赤方偏移が小さいものよりも進化していないことが確認されました。

塵を伴わないこれら 2 個のクエーサーは塵のない環境で生まれ、非常に若いために観測可能な量の塵をその周囲に生成しなかった、第一世代のクエーサーなのかもしれません。


### database ###
nature 464,317-456 18 March 2010 Issue no.7287
Letter p.380 / Dust-free quasars in the early Universe / L Jiang et al.(University of Arizona)
News and Views p.359 / Astrophysis : First generation of Quasars / Giulia Stratta


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2009年02月26日

工学:超伝導体の明らかな転身

 複合酸化物間の界面は、凝縮系物理学における最も興味深い系の1つであることが明らかになりつつあるという。

 並進対象が人為的に破られているこの特殊な条件では、さまざまな新しい電子相や異常な電子相の出現が促進されている。

 電場は修復系の新しい手段になることから、Schlom & Ahn は、この方法をナノスケールの酸化物面で用いて、二次元超伝導体の物理学的性質が調べられた。

 これらの背景から、「LaAIO3/SrTiO3界面基底状態の電解制御」について A D Cavigliaらの報告が取り上げられた。

 理論研究では複雑な相図が予測されており、系の基底状態の決定に電化キャリア密度が果たす重要な役割が示唆されている。特に興味深い系は、バンド絶縁体である LaAIO3 とSrTiO3 間の導電性界面である。

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2009年02月24日

医学:高病原性H5N1インフルエンザウイルス由来のNS1のX線構造

高病原性鳥(H5N1)インフルエンザウイルスの最近の出現、このウイルスの同種動物間で伝染する性質や致死性ヒト感染との関連は、健康に関する懸念を世界中で高めているのは、報道などで一般的に既に知られている話だろう。

因みに、H5N1が宇宙から来たウイルスであるという科学的知見の報告はこれまで上がっていない。

幾つかの研究により、病原性の増大やこれらの型の毒性には、明確な構造をもたないタンパク質NS1が重要である事がはっきり示されている。

二本鎖(dsRNA)結合ドメインとエフェクタードメインの2つがリンカーにより隔てられているNS1は、宿主の抗ウイルス性I型インターフェロン応答に対するアンタゴニストの1つとされる。

今回、BornholdtとPrasadらは、ベトナムでの大流行におけるヒト死亡の60%に関連していたH5N1型(A/Vietnam/1203/2004)由来の完全長NS1のX線構造を報告している。

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2009年02月19日

腫瘍:リボソームタンパク質ハプロ不全により

 リボソームタンパク質ハプロ不全により Myc の発がん性が制御されるという。

 Myc がん遺伝子は、リボソームタンパク質、翻訳開始因子、RNAポリメラーゼIIIやリボソームDNAなど、タンパク質構成装置を構成する諸因子の発現を制御している。

 細胞のタンパク質合成能の亢進が発がんに通じる多段階過程に影響を及ぼすか比か、また及ぼすとすればどのように影響しているのかは、まだ明らかにされていない。

 M Borna らの本論文では、リボソームタンパク質がヘテロ接合体であるマウスを遺伝学的な手段を用いて、Eμ-Myc/+ トランスジェニックマウスでのタンパク質合成の亢進を正常レベルに戻し、このような状況では Myc の発がん性が制御される事を示している。

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2009年02月07日

医学:ALKが神経芽細胞腫を引き起こす

 神経芽細胞腫は、最もよく見られる小児がんである。この疾患は加須気歴と強く関連するため、発症には遺伝的要因が関与する事が30年以上前から予測されていた。今週業では、神経芽細胞腫患者では受容体型チロシンキナーゼALK(anaplastic lymphoma kinase)に異変が変じている事を、4つのグループが報告している。

 ALKは神経芽細胞胞腫の要因遺伝子の役割を果たしており、散発性の神経芽細胞腫では体細胞に点突然変異が生じている。この異変は、in vivo で ALK のキナーゼ活性を促進し、細胞を形質転換させ、腫瘍活性化が見られるようになる。ALK阻害剤は神経芽細胞腫の細胞増殖を抑制するため、抗がん剤となる可能性があるという。

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2008年06月16日

物理:フォノンなんて要らない超伝導

 「古典的な」形の超伝導は、ノーベル賞を受賞した 1950 年代の BCS (Bardeen-Cooper-Schrieffer) 理論より、フォノン交換を介して相互作用する電子ペアの超流動として、最終的に説明された。

 いったん決着がつくと、今度はフォノンによって実現する変形可能な格子は超伝導にとって不可欠なのかどうかという疑問が浮上してきた。

 フォノンが不可欠ではないということは、その後に「非従来型」超伝導体が次々と発見されてわかってきた。

 2007年12月20/27日号の Review Article で、P Monthoux 、D Pines 、および、G Lonzarich は、フォノンを必要としない超伝導の解釈の強力な枠組みとして出現した磁気相互作用模型について、改めて解説している。

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古気候:暁新世 / 始新世境界における軽い炭素の急速な注入に先行した環境上の変化

 温暖化が先か、炭素注入が先か…?

 暁新世 / 始新世境界温暖極大期、つまり、約 5,500 万年前の極度に温暖化した時期は、特徴的な同位体組成を持つ温室効果ガスの海洋―大気への大量放出と関連していた。

 しかし、温室効果ガスの注入が、この出来事の特徴である地球温暖化と環境変動の原因なのかは、はっきりしていない。

 Sluijs たちは、米国ニュージャージー州の 2 つの堆積物断面から得られた暁新世 / 始新世境界にまたがる環境変動の分解能の高い記録を用いて、この問題の解明を試みた。

 その結果、この地点では温室効果ガスの注入の起こる数千年前から、環境変動と海洋表層の水温上昇がはじまっていたことがわかった。

 このことから、Sluijs たちは「暁新世 / 始新世境界における軽い炭素の急速な注入に先行した環境上の変化」について報告している。

 このような順序で事態が進行したことは、深海の水温上昇によって海底のガスハイドレートが解離し、温室効果ガスであるメタンが大量に放出されたという考え方と一致する。

 しかし、初期の温暖化の原因は、まだよくわからないままである。

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2007年10月24日

宇宙:火星の奇妙な海岸

 火星に海が存在したかどうかは、誰でも思わず釣り込まれるような話題である。

 火星の平原を数千キロメートルに渡って取り囲む地表の一連の地勢が、昔の海岸線の名残であると説明されたとき(海岸線仮説)は、すべてが解決したように思われた。しかし、総礼された海岸線に沿った地形の輪郭から、標高が極めて長い間隔で、波のように上下しており、その上下の変化幅は最大で数キロメートルに及ぶことが明らかになった。このことから、海岸線仮説の反証として論じられてきた。

 しかし、今回、海岸線説が見事な復権を果たした、という。

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2007年10月23日

地球:地震の新しいカテゴリー

 全地球測位システムなどの技術的進歩により、比較的長期で珍しい地震現象が数多く見つかっている。

 これらには、深部低周波微動、低周波地震、スロースリップ、「サイレント」地震などが含まれる。

 井出らは、主に西日本のデータに基づいて、このような振幅の小さい地震過程の規模と継続時間の「ゆっくりとした」地震現象が単一のスケーリング関係に従うことを報告している。

 この関係は、このような地震が、もっと激しく瞬間的な「普通の」地震とは明らかに性質が違うことを示している。

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細胞:世界中の光を集める

 植物、緑藻類、シアノバクテリアが行う酸素発生型光合成は、地球上のすべての高等生物に直接あるいは間接にエネルギー供給(受け取り)をしている。

 反応中心と集光性複合体を含むタンパク質超複合体である光科学系 I (PSI) はこの過程にかかわっており、エネルギー補修ではスーパースターのような存在に位置する。

 PSI は自然界で最も効率の高い光化学機械であり、吸収した光子のほぼすべてが電子伝達系を駆動するのに使われる。

 今回、植物の PSI の X 線結晶構造が分解能 3.4 Åで決定され、17個のタンパク質サブユニット、168個のクロロフィル、2個のフィロキノン、3個の Fe4S4 クラスター、5個のカロテノイドが明らかになった。

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2007年10月21日

進化:ダーウィンの「競争」説に終止符

 生物学界の中でも特異な世界といえる、ダーウィンの進化論についての学者たちの討論。それはあたかも、かのアインシュタインがそうであったように、ダーウィンが挙げた説について集中的に(他説を信じる者はダーウィン説を打破するために、ダーウィン説を信じる者は守るためだけに)激しい論争が行われており、それは特殊な世界となっている。

 議論が過激な論争に落ち入り易いためか、著書「利己的な遺伝子」で著名な分子学の見解で説を唱えるR. ドーキンスが、近年の著書でダーウィンの擁護に回るものが数冊もあるほどの異様ぶりであるので、これを書く著者は、nature誌を読んでは引いてしまうため、詳しく調べていない。

 今回、ダーウィンが唱えた「競争」説についての根拠が得られ終止符が打たれたらしい。


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2007年10月20日

幹細胞:異常なものを再利用する

 クローニングに新たな朗報。クローニングに異議や異論がある者には喜ばしくない話である。受精卵にもある再プログラミング能があるという。

 ドナー特異的な胚性幹細胞を作るためにヒト卵細胞を使うのには異論が多い。マウスで開発された方法がもしヒトでも使えるなら、こうした目的のために卵細胞を入手する必要はなくなるだろう、という見解も出てきている。

(しかし、いくら治療のためとは言っても、有糸分裂中に一時停止した受精卵を体細胞の作成、クローン動物の満期発生が可能とするこの技術は、生命倫理が問われるに値するだろう、と私的な見解では、「受精卵は母体のシステムの一部:1つの部品」として異論側に自分は在している。だが、今後、異論を唱えるために、あえてこの情報を取り上げようと思う。)

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2007年10月19日

気候:ハリケーンの発生頻度は「通常」に戻っただけだった。

 北大西洋の大きなハリケーンの発生頻度は、1995年以降大幅に増加してきたが、その原因が地球温暖化なのか、あるいは自然変動なのかはまだはっきりしていない。

 すなわち、この傾向の原因は人為由来の人間活動により引き起こされた気候変化と自然変動の両方であるとされてきたが、主な原因はまだはっきりしていないということである。

 この問題に取り組む方法の1つは、過去のハリケーン発生頻度の変動を検討することであるが、過去のハリケーンの発生頻度と強度の変化からハリケーン活動に影響を与える要因についての手がかりが得られても、北大西洋のハリケーン活動に関する信頼できる観測データは数十年分しか存在しないという。


 北大西洋での強いハリケーンの発生頻度は過去10年間に増大してきた。

 昔の嵐の跡をだとり、観測記録のない時代に同じような暴風雨が残した代理記録を詳細に調べることは、ハリケーン活動への影響を評価するのに役立ちそうだ。

 しかし、私的な見解(本誌には記載されていない話)では、〔温室効果ガスの発生量〕や〔温度の上昇〕などといった、環境の立地条件が当時と数値が違うことと、巨大ハリケーンを考えると、そう考えるのは、まだ早過ぎるかもしれない。

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2006年05月23日

気候:人為由来の大気循環を示すシミュレーション

 19 世紀中頃から地球表面は温暖化しており、モデル研究からは温暖化の一部が人間活動による大気放射バランスの変化によって引き起こされたことが示されている。

 また、単純な理論から、地球温暖化によって平均的な熱帯大気循環が弱まることが示唆されてている。

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2006年05月18日

遺伝:ヒト 3 番染色体の解釈付け

 国際ヒトゲノム配列決定コンソーシアムは、ヒトゲノムの概要配列の決定後、ヒトゲノムを構成する 24 本の染色体のそれぞれについて、解読の完了と解釈付けに取りかかっている。

 今回は、ヒト 3 番染色体の解釈付けが報告された。

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2006年05月14日

材料:曲げれば曲げるほど硬くなる

 鉄床にハンマーで叩くと鋼などの金属を硬く強くできることは、何世紀も前から鍛冶屋には知られていた。

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2006年05月12日

宇宙:巨大惑星がもつ自転軸傾斜の謎

 木星や土星、天王星、海王星といった巨大惑星の自転軸がなぜ傾斜しているのかを説明する新しい理論を、A Brunini が提案している。

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2006年05月11日

遺伝:ヒト 17 番染色体との構造比較

 17 番染色体は多くの点で特殊なヒト染色体である。

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2006年05月09日

細胞: RhoA 活性の空間的動態

Rho ファミリーの GTP アー是は、細胞の移動を制御するアクチンと接着の動的変化を調節している。

 現在のモデルには、Rac が移動の先端側で膜の突出を促進し、RhoA が細胞体の収縮を調節するとされている。

 しかし、RhoA も膜の突出の調節を行っているとの証拠もある。

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2006年05月07日

生化学:Hsp90 シャペロン複合体の結晶構造

 Hsp90 (分子質量 90kDa の熱ショックタンパク質)は広くみられる分子シャペロンで、真核細胞の多くのシグナル伝達系の集合と調節に関わっており、多くの癌で、合理的な化学療法の新たな標的となっている。

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