2007年10月22日

遺伝:メダカゲノムの概要塩基配列

 メダカ(Oryzias latipes)は、日本では一般家庭で飼われてきた魚だが、最近では、発生遺伝学や進化生物学の実験モデル生物にもなっている、という。

 今回、日本の大規模なコンソーシアムによって、メダカのゲノム塩基配列が解読され、分析された。

 脊椎動物の種分化の遺伝的基盤を解明するための新しいモデル系であるシクリッドやトゲウオは、進化的にはゼブラフィッシュよりもメダカに近縁であり、そのため、メダカのゲノム塩基配列からは脊椎動物の4億年のゲノム進化についての貴重な手がかりが得られると考えられる。

参考文献:
nature Vol 449 | Issue no.7145 | 255-382 | 7 June 2007 |
This Issue p.xxi / Medaka Genome
Letter p.714 / The medaka draft genome and insights into vertebrate genome evolution / 東京大学 M Kasahara et al.


 硬骨魚類は、脊椎動物種全体の半分以上を占め、様々な海洋、および、淡水の生息環境に適応している。そのゲノムの進化や多様化は脊椎動物の進化の理解に重要である。

 これまで2種のフグのゲノム概要塩基配列が発表されているが、より多くの魚類ゲノムの分析が望まれている。

 本論文では、小さな卵生淡水硬骨魚であるメダカゲノムの高品質概要塩基配列を報告している。

 メダカは東アジア原産で、環境毒性、発癌、性決定、および、発生遺伝学など、広範囲の生物学の優れたモデル系である。

 構築されたメダカゲノム(700メガベース)はゼブラフィッシュゲノムの半分以下で、5'SAGE ( 5'-end serial analysis of gene expression ) のタグ情報から、約2,900の新規遺伝子を含む、20,141の遺伝子が予測された。

 さらに、2つの地域の集団に由来する2つの近郊系間に平均 3.42% の割合で一塩基多型(SNP)を見出した。これは、脊椎動物種の中で観察された最も高い SNP 率である。

 高密度 SNP 情報に基づく分析から、この2つの地域集団間には厳密な遺伝的隔離が400万年の間続いていたことが示された。

 また、この間に作用した選択圧は、遺伝子カテゴリーによって差があることが示唆された。

 ヒト、フグ(Teraodon)、ゼブラフィッシュ、および、メダカの4つのゲノムの比較分析から、硬骨魚の祖先でのゲノム規模の重複後、約5,000万年という非常に短い期間に、8つの主要な染色体間再編成が起こり、その後、興味深いことに、メダカゲノムではその祖先の核型が3億年以上も保持されていたことが明らかになった。



 この研究で得た知識は、基礎科学(生物学)において、大きな収穫であると、私は思う。

 ちなみに、SNP とは、ヒトゲノム解読プロジェクトに続く、『国際ハップマッププロジェクト』で出てきたもので、nature誌では冊子で「ヒトゲノムのハプロタイプの地図」が配布されている(参考:「国際ハップマッププロジェクト / 連鎖不平衡の特性 / ハップマップで疾患を見る方法
」)。

 基本的に医学からの視点のゲノム研究の場合、被験者のデータが総人口数より少ないことと、見た目の感が非情に強く、物理上の詰めが甘いため、報告の度に、毎回「これによって、〜であることを信じている」といった、唱え、称えられるほど実用性はないのではないかと考えている。
posted by 藤次郎 at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | discovery | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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