2007年10月21日

地球:マントルの再循環

 地球の火山活動の地震活動は地球内部の活発な活動を表しており、地表の海洋プレートがマントルを通して再循環していることを示しているが、この過程の性質と時間スケールはよくわかっていない。

 このような深部での再循環の程度を絞り込むために、Turner らはアゾレス諸島で得られた玄武岩中の同位体含有量の分析を行った。

 その結果から、アゾレス諸島の玄武岩の一部はメルトと流体が枯渇した少なくとも25億年前のリソスフェアマントルに由来するが、その他は、メルトに富んだおよそ30億年前の玄武岩に由来する部分を含んでいることが示唆された。

 この両方の成分は、深部に沈み込み保存されていた始生代の海洋プレートで、およそ30億年後にアゾレス諸島の下で熱的な浮力により上昇したものから生じたらしい。

参考文献:
nature Vol 449 | Issue no.7145 | 255-382 | 7 June 2007 |
This Issue p.xxiii / Mantle recycling
Letter p.702 / Boron and oxygen isotope evidence for recycling of subducted components over the past 2.5 Gyr / マッコリー大学(オーストラリア) S Turner et al.


 表層物質が地球マントルを通して深部で再循環していることとその年代を示す証拠は、マントル対流における沈み込むプレートとプリュームの役割を解明するために、長い間捜し求められてきた。

 そのような再循環に対する放射壊変起源同位体の証拠は、親核種と娘核種の分別が起きた年代と場所がわからないために決定的とはいえない、と見られている。

 逆に、安定同位体は低温における分別に対しては議論の余地の内相をを与えることが出来るが、変成を受けていないほとんどの海洋玄武岩における安定同位対比の範囲は限られており、変化を受けた年代は絞り込めていない。

 本論文では、アゾレス諸島で得られた玄武岩中の б^18 Ο 比は、始原的マントルよりもしばしば低いことを示している。

 これは、Nb/B 比の上昇および б^11 B 比の範囲の広がりと合わせて、地球表面近くで分別を受けた物質の再循環に対する説得力のある証拠となる。

 さらに、б^11 B とコンドライト隕石に近い値にまで及んでいる 187^Os/188^Os 比が負の相関を示すことから、Nb/B が高く 11^B に富んだ端成分の年代は25億年(2.5 Gyr)よりも古いと絞り込まれる。

 この成分は、沈み込んだ海洋プレートに由来するメルトと流体が枯渇したリソスフェアマントルであると考えられるが、他のアゾレス諸島の玄武岩はメルトに富んだおよそ30億年前の玄武岩に由来する成分を含んでいることがわかった。

 これらの成分は、おそらくはマントル深部まで沈み込んだ始生代の海洋プレートに由来し、熱的な浮力により、およそ30億年後にアゾレス諸島の下から上昇してくるまで深部に保存されていたと考えられるという。



*** 余談(おまけ) ***

 因みに、今から5500万年前に突発的な温暖化事件があった。これは「古第三紀の突発的温暖化事件」と呼ばれ、しばらく前は 「 PTM ( Late Paleocene Thermal Maximum )」と呼ばれていたが、最近では「 IELM ( Initial Eocene Thermal Maximum )」と呼ばれている。

 この温暖化事件では地表の気温がおよそ7度上昇したとされているが、この温暖化に伴って生物体量ずつ滅が起きたという証拠はあまりない。

 原因は突発的なメタンハイドレートの溶け出しが起きたためだと考えられたが、なぜ突発的なメタンハイドレートの溶け出しが起きたのかの疑問については様々な説が出ていたものの、2004年にノルウェー沖の海底地殻構造の調査によって、新たな証拠が提示され、大規模な火山活動が関係していることが明らかになった。

 ノルウェー沖の海域には熱水噴出孔の後や海底火山活動の証拠が広域的に認められた。また、こうした地殻への熱供給によってメタンハイドレートが溶け出した後であると考えられる地層のひずみが反射法地震調査による調査で明らかになった。

 すなわち、大陸分裂や造山運動に関連した火山活動で海洋底に過剰の熱が供給され、それがメタンハイドレートの溶け出しを促し、ひいては気候変動を引き起こしたことになる。

 メタンハイドレートの蓄積はメタン細菌などの微生物活動によるものであり、固体地球の変動と生物圏の活動が絡み合って、気候変動が引き起こされた興味深い事例である。

参考文献:「地球環境科学」「変化する地球」「惑星地球の変化」−放送大学テキスト
             science_vampire



 
posted by 藤次郎 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | scientific situation | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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