2007年10月20日

宇宙:超新星爆発の予行演習

 2004年10月、銀河 UGC 4904 に明るい可視光トランジェント(一時的に出現する天体)が発見されたが、このトランジェントは超新星かと思われるほど大規模で明るかったという。

 その後の研究で、そこまでの規模ではなかったことが示唆されたものの、発見から2年後に、派手な爆発を起こしたようである。

 超新星 SN 2006jc の天球上の位置は、2004年の可視光トランジェントのそれとぴったり同じだったという。このような二度の増光が観測されたのは今回が始めてである。

 現在のところその原因はわかっていない。

 可能性の1つは、最初のトランジェントが、急速に質量を失いつつある極めて高温の大質量星、ウォルフ・ライエ星の増光だったというものだ。

 或いは、この系は、明るい青色変光星を含む連星系で、この変光星が2004年に爆発し、その2年後に伴星のウォルフ・ライエ星が爆発して超新星 SN 2006jc になったとも考えられる。

参考文献:
nature Vol 449 | Issue no.7140 | 753-884 | 14 June 2007
This Issue p.xviii / Dry run for a supernova
Letter p.829 / A giant outburst two years before the core-collapse of a massive star / クイーンズ大学ベルファスト校(英) A Pastorello et al.


 大質量星の死からはさまざまな超新星が生まれ、それらの性質は、爆発する星の構造によって決まる。

 ll 型超新星の前駆天体の発見はいくつか報告されてきたが、水素が欠乏している lb 型および lc 型超新星の前駆天体については、直接的な情報はまだ得られていない。

 本論文では、特異な lb 型超新星 SN 2006jc が、2004年に発生した明るい可視光トランジェントと空間的に一致することを報告している。

 この超新星の分光測光観測から、前駆天体はヘリウムに富んだ星周物質に取り囲まれた、炭素と酸素からなるウォルフ・ライエ星だったことが示唆される。

 この爆発前のトランジェントに対して異なる説明もいくつか考えられる。これは、太陽の 60〜100 倍の質量の明るい青色変光星(LBV)の大増光に似ているが、SN 2004jc の前駆天体はヘリウムと水素が欠乏している点で LBV とは異なる。

 ウォルフ・ライエ星においても LCV に似た増光が起こる可能性があり、これはそのような減少の最初の観測的証拠となるかもしれない、という。

 あるいは、2004年に爆発した LBV と SN 2006jc として爆発したウォルフ・ライエ星からなる大質量の連星系という考え方でも、この観測結果は説明できるだろう、という。



 今後の謎解きが楽しみである。
posted by 藤次郎 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | frontiers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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