2007年10月19日

気候:ハリケーンの発生頻度は「通常」に戻っただけだった。

 北大西洋の大きなハリケーンの発生頻度は、1995年以降大幅に増加してきたが、その原因が地球温暖化なのか、あるいは自然変動なのかはまだはっきりしていない。

 すなわち、この傾向の原因は人為由来の人間活動により引き起こされた気候変化と自然変動の両方であるとされてきたが、主な原因はまだはっきりしていないということである。

 この問題に取り組む方法の1つは、過去のハリケーン発生頻度の変動を検討することであるが、過去のハリケーンの発生頻度と強度の変化からハリケーン活動に影響を与える要因についての手がかりが得られても、北大西洋のハリケーン活動に関する信頼できる観測データは数十年分しか存在しないという。


 北大西洋での強いハリケーンの発生頻度は過去10年間に増大してきた。

 昔の嵐の跡をだとり、観測記録のない時代に同じような暴風雨が残した代理記録を詳細に調べることは、ハリケーン活動への影響を評価するのに役立ちそうだ。

 しかし、私的な見解(本誌には記載されていない話)では、〔温室効果ガスの発生量〕や〔温度の上昇〕などといった、環境の立地条件が当時と数値が違うことと、巨大ハリケーンを考えると、そう考えるのは、まだ早過ぎるかもしれない。

参考文献:
nature Vol 447 | Issue no.7145 | 613-752 | 7 June 2007 |
This Issue p.xxiii / Hurricane seasons 'normal'
News and Views p.647 / Climatology : Tempests in time / James B Elsner
Letter p.698 / Low Atlantic hurricane activity in the 1970s and 1980s compared to the past 270 years / スウェーデン地質調査所 J Nyberg et al.


 本論文ではサンゴと海底堆積物コアから得られた、風の鉛直シアーと海表面水温(共に、この海域での大きなハリケーンの形成を左右する主な要因)の代理指標記録を用いて、大西洋における過去270年間の大きなハリケーンの発生頻度記録を構築したデータが掲載されている。

 風の鉛直シアーと海表面水温の2つは、ハリケーン活動に影響を及ぼす主要なパラメーターに相当する。

 1730年以降の大西洋の大きなハリケーンの発生頻度を再構築した結果、1970年代から1980年代の頻度が過去270年間と比べると異常に低く、1995年以降のハリケーンの発生頻度の増加はハリケーン活動が「通常どうり」に戻ったのにあたるとわかった。

 これらの変化の傾向は風のシアーと関連があるように見えるが、このパラメーターの変化の原因は依然としてわかっていない。


 この記録は、大きなハリケーンの平均発生頻度が1760年代から1990年代初頭にかけて徐々に減少し、1970年代から1980年代には異例に低くなっていることを示している。

 さらに、1995年以降のハリケーン活動が活発になった時期は、この記録におけるハリケーン活動が活発だったほかの時期と比べると異常に相当するものではなかった。

 したがって、ハリケーンの発生頻度は海面水温上昇に対する直接的な応答ではなく、ハリケーン活動が通常の状態に回復したことを示している、と著者は想定している。

 この記録を風の鉛直シアーの再構築結果と比較すると、当該パラメーターの変動が、過去270年間にわたって大西洋での大きなハリケーンの発生頻度を大きく左右していたことが示されされる(と仮定できる)ことから、このことは、風の鉛直シアーの大きさの変化が将来のハリケーン活動に大きな影響を及ぼす可能性を示唆したものだ、と考えられている。



 ただし、私的な見解としては、地球は、大気・海洋・地殻・マントル・核などの(それぞれ時間軸が違う)サブシステムが集まった一つの巨大なシステムである。このため、地球ダイナミクスや地球環境のライフサイクルのバックグラウンドなしに「気象システムのみ」で見ていた場合には、「〜のように見える」状態である可能性が高い。そのような場合には、それらの仮定や想定は現実的ではないかもしれない。

 しかも、近年から最近までの巨大ハリケーンについての詳細な考察までは、これには入っていない。

 すなわち、『ハリケーンの発生頻度は「通常」に戻っただけだった。』といった報告があっても、現実的な物理の成り立ちでは、複雑な地球環境システムの関係上、それは条件下で発生するものであるので、どちらか一方の解釈をすることは現実的ではないと思われる。

 なぜなら、地球という惑星内スケールで整理すれば「自然変動」の中に、「〔環境の立地条件〕や〔生態系の立地条件〕」と「〔人為由来の人間活動〕×〔人口量〕により引き起こされた気候変化」の統計で現象が成り立っているからである。

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