2007年10月18日

気候:メタンによる温暖化の根拠

 暁新世/始新世境界温暖極大期(PETM)と呼ばれる、およそ5,500万年前に起こったと考えられている全球的温暖化の期間は、温室効果ガス濃度の急激な上昇が原因とされ、その説明として最も可能性が高いのが「メタンハイドレートの解離」という現象である。

 これまで、高緯度域で起こった陸上環境からのメタン放出により、温暖化への影響が増強されたのではないかと考えられていたが、湿地からのメタン放出の増大を示す直接的な根拠はなかった。

 英国南東部のコバム褐炭層(Cobham Lignite)は、近年その性質が明らかにされた「PETM期を通して形成された一連の堆積物」にあたるが、今回、その地球化学的分析からある程度の証拠が得られたという。

参考文献:
nature Vol 449 | Issue no.7160 | 255-382 | 20 September 2007 |
This Issue p.xix / A warming event
Letter p.332 / Increased terrestrial methane cycling at the Palaeocen-Eocene thermal maximum / ブリストル大学(英) R D Pancost et al.


 コバム褐炭層は大規模な湖成・湿地由来の堆積物であり、PETMの開始期から存在した地層であるため、当時の湿地型の生態系が示した生物地球化学的な応答を調べることが出来るらいい。

 本論文の報告では、この堆積物には、温暖化の開始期にホパノイドという細菌バイオマーカーの炭素同位体値が減少したことが記録されており、それにはメタン細菌の個体数の増加と一致するという。

 この状況はより温暖で湿潤な気候下で湿地帯のメタン産生増加に対する応答である可能性があり、これは、より温暖かつ湿潤な気候への変化によって駆動されたと思われるメタン産生増大を表していると考察されている。

 この状態は、おそらく、地球温暖化に対する正のフィードバックとして働いたことを示唆しているのではないか、と研究者は報告している。

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