2005年08月17日

意図が曖昧なゲノム研究計画

 文部科学省は来年度以降、ヒトゲノムを他の種のゲノムと比較し、機能や進化過程解明する研究に着手すりらしい。

 医療にとっては、人体の機能や構造を解明できるのは、治療法が進展できることは嬉しい事であり、生物の進化の過程がわかることは、生物学においては大きな意味を持ち、世界を広げる。

 しかし、動機が曖昧であり、理屈で動機を分析すれば、生態系学上の倫理違反にならないだろうか?

 研究で得た産物を何に利用するのか、何のためにその産物を得たいのか、そのあたりをしっかりと押さえて研究計画に取り組まなければ、意味がない研究計画となり、足を踏み外しやすいものとなるのではないのだろうか?

 過去のヒトゲノム解読計画は、倫理上の問題で大きな論争になったものの、疾病における治療に役立てるための研究計画でそれなりの大きな意味があったが、今回のゲノム過程解明計画には意図が曖昧なものにしか見えない。例えば、現在はヒト本意になっている流れであるものを、今回の研究で地球環境上での生物の進化の過程を知ることによって、生態系維持に役立てるためとか、もっとグローバルな視点からの動機が得られないのは残念である。

 科学技術が発展した今であるからこそ、グローバルな視点がより必要となるはずで、少なくとも、ヒト本位の振る舞いをやめるべき、となるはずだと思う。ヒトは高度な科学技術を持てても、他の動植物の存在無しには、栄養摂取さえできずに、生きて行けなくなるのだから――。


 下記に報道内容を示す。

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<ヒトゲノム>機能や進化過程解明する研究に着手 文科省

 文部科学省は来年度以降、ヒトの全遺伝情報(ゲノム)を、鳥やサル、クジラなどのゲノムと比較し、遺伝子の機能や進化の過程を解明するプロジェクトに着手する。他の動物の遺伝子との違いを探る「比較ゲノム」は米国でも主要研究テーマとなっているが、将来的には医療分野への活用や、国内の解析技術の国外流出を防ぐ狙いもある。今後、10種類以上の動物を選び、全国の研究者と連携して進める。
 これまでに、理化学研究所などの研究チームが、ヒトとチンパンジーのゲノムを比較し、両者の違いが約5%であることを明らかにしている。しかし、この違いがどう生じたのかその過程は不明だ。このため、プロジェクトでは、進化の系統に沿ってさまざまな種の動物のゲノムを解読、比較し、ヒトがヒトとなった「理由」を探し出す。
 個々の遺伝子の機能が明らかになれば、ヒトの遺伝子を操作しなくても、ヒトと同じ遺伝子を持つ動物を使ってヒトの病気の仕組みや治療方法を研究することも可能になるという。すでに解読済みの動物のゲノムの活用も検討する。
 米国では、比較ゲノム学がゲノム解読に続く「ポスト・ゲノム」の主要テーマと位置づけられ、多額の研究費がつぎ込まれている。日本国内の動物のゲノム解析にも、米企業の研究資金が投入されたケースもあるという。文科省ライフサイエンス課は「ゲノム解読や解析の過程で得られる研究成果も多い。それらの情報や、国内の高度なゲノム解析技術が、黙って国外に出てしまうことは防がねばならない」と話す。
 小原雄治・国立遺伝学研究所長は「ヒトと複数の動物間のゲノム比較が実現すれば、ヒトらしさを作る遺伝子をはじめ、今のような脳の機能や免疫機能をいつ獲得したのかを知ることができる。生息環境と遺伝子の関係も明らかになるだろう。国家的な戦略を示せば、迅速に成果を出せるはずだ」と話している。【永山悦子】

 ◇ことば 全遺伝情報(ゲノム)
 1個の生物を作るのに必要な遺伝情報のセットのこと。生物ごとに固有のゲノムがあり、「生命の設計図」にあたる。これまでにヒト、マウス、ショウジョウバエやイネなどの解読が進んでいる。遺伝情報は細胞の核のDNA(デオキシリボ核酸)に記録されている。
(毎日新聞) - 8月16日14時8分更新
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posted by seed at 07:15| Comment(0) | TrackBack(1) | tawagoto-memo | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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