2006年06月07日

太陽系:惑星間での拉致事件

 どうやら、海王星の衛星トリトンは、とのり残されたために捕獲されたものであるらしい。

 海王星が通り掛かりの連星系から衛星を得た仕組みがわかった。

 海王星の最大の衛星であるトリトンは、どうやら冥王星−カロン系に似た 2 個の天体からなる連星系に属していたらしい。

 この連星系が海王星に近づきすぎてバラバラになり、その結果、トリトンは海王星を周回するようになったのかもしれないという。
参考文献:
nature Vol 441 | Issue no.7090 | 127-254 | 11 May 2006 | News and Vews p.162 / Solar System : Interplanetary kidnap / Alessadro Morbidelli

 トリトンは、太陽系の大きな衛星のうちでは唯一、惑星の自転と逆方向に海王星の周囲を軌道運動している。

 トリトンの円軌道はまた、海王星の赤道からかなり傾いている。

 これらのことから、トリトンは海王星に捕獲される前に、太陽の周りを軌道運動していたことが考えられるが、トリトンの捕獲に関する従来のモデルでは起こりそうもない事象を想定しなければならない。

 今回、C Agnor と D Hamilton は、もっと無理のない説明を提案している。

 このモデルでは、トリトンはかつて、冥王星とその最大の衛星であるカロンのペアに似た連星系に属していたと考えられている。

 この連星系は海王星に接近しすぎたために軌道から逸れてバラバラになってしまい、連星の一方は逃げ去ったが、トリトンはそのままとり残されたというものだ。

 海王星の周囲を軌道運動している原始衛星の連星系は、トリトンの捕獲後、長くは持ち堪えられなかったと考えられている。


 トリトンは海王星の主要な衛星であり、太陽系の中では群を抜いて大きな逆行衛星で、その質量は冥王星より約 40 % 大きい。

 その傾いた軌道は、内側にある小さな順行軌道と逆行軌道の両方をもつ外側の多数の不規則衛星との間に位置する。

 この変わった位置から、トリトンは本来、太陽の周りを軌道運動していたが、その後、海王星をめぐる軌道に捕獲されたと考えられてきた。

 しかし、その捕獲過程に関する既存のモデルにはいずれも大きな問題点があるため、有効性が疑わしいと、C Agnor と D Hamilton はいう。

 下記に「衛星トリトンは連星系と惑星の重力による接近遭遇の際に海王星に捕獲された」ことについて報告された内容を示す。
参考文献:
nature Vol 441 | Issue no.7090 | 127-254 | 11 May 2006 | Letters p.192 / Neptune's capture of its moon Triton in a binary-planet gravitational encounter / カリフォルニア大学サンタクルーズ校(米) C B Agnor  メリーランド大学カレッジパーク校(米) D P Hamilton

 本論文では、およそ 10^3 キロメートルの大きさの天体からなる、連星系と海王星との 3 つの天体間の重力による急接近遭遇を考えると、トリトンの確保を無理なく説明できることが報告されている。

 筆者らのモデルからは、トリトンはかつて、冥王星−カロン系に似た特徴などの妥当だと思われる一連の特徴を備えた連星を構成していた天体であったと予想される。



 トリトンはバラバラにされてとりのこされたという生い立ちをみっているとなれば、何となくわかいそうな気がしないでもないが、衛星とはいえど、トリトンは冥王星より大きい。

 冥王星より大きいトリトンが取り残されて、それも、海王星に捕獲されてから逆行軌道を周回する様は、まるで何かを見ているようである…。

 ヒト社会においてもそんな存在があるが、おおまか、そんなものかもしれない。

 常識を覆す存在であるだけに、想像するだけでも面白い存在である。
posted by 藤次郎 at 08:07| Comment(0) | TrackBack(0) | frontiers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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