2006年05月22日

温暖化に繁殖時期を合わせられない渡り鳥

 気候の影響で鳥の繁殖時期が餌の少ない時期にあたってしまい、個体数の現象が起きていることが報告された。

 渡りを行うマダタヒタキ( Ficedula hypoleuca )での調査によれば、餌になる側の生物種と捕食する側の鳥類種の間で、温暖化に対する適応度合いに差がある場合、鳥の個体数が大きく減少するのだという。

 マダラヒタキは長距離の渡りをする鳥で知られている。

 オランダではるの繁殖期を過ごし、そこでヒナの餌の大部分をチョウやガなどの幼虫でまかなう。

 C Both らは今回、温暖化によってそうした幼虫の個体数のピークが早まることで、マダラヒタキにおよぶ影響を調べた。

 すると、過去 20 年で、餌の量がピークに達するのが最も遅い地区でのマダラヒタキの個体数減少がおよそ 10 % だったのに比べて、餌量のピークが最も早く現れる地区では 90 % の現象がみられたという。

 個体数のこの減少は、マダラヒタキが餌の乏しい時期に繁殖するためだと Both らは考えている。

 Both らによれば、このタイミングのずれは、マダラヒタキが渡りの磁気を厳格に守って温暖化に対応できずにいるために生じるものであり、また、長距離の渡りや移動をする他の動物の個体数も、同じような影響を受けている可能性もあるという。

 気候変動に対する生物の季節的動態の応答は、栄養段階レベルごとに異なっており、こうした応答が原因で、餌量が最も多い時期に鳥類が繁殖できなくなる可能性があることから、今回 Both らは、マダラヒタキでこのようなタイミングのずれが個体数に与える影響を調査したのだという。

 下記に「長距離渡りを行う鳥類でみられる個体群減少と気候変動」について報告された内容を示す。
参考文献:
nature Vol 441 | Issue no.7089 | 1-126 | 4 May 2006 | Letter p.81 / Climate change and population declines in a long - distance migratory bird / オランダ生態学研究所およびフローニンゲン大学(オランダ) C Both et al.

 本論文によれば、餌量の早くとりかかった固体が餌量ピークになんとか間に合うように繁殖し、個体数はやや減少するに留まったという。

 しかし、もし餌の季節的動態変化がさらに前倒しになるなるのなら、今は餌量のピークが遅く現れる地区でも個体数が減少することが予想されるが、これはこうした地区でも早まることになる餌量ピークに対する繁殖時期の応答調節が十分でないからである、という。

 気候変動の結果として生じるこの種のタイミングのずれは、おそらく広範囲にわたる現象であり、本研究は気候変動が個体数減少を引き起こしうることを示す証拠であると、地球温暖化が与える生態系問題の一環として提示している。
posted by seed at 08:04| Comment(0) | TrackBack(0) | scientific situation | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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