2006年05月12日

宇宙:巨大惑星がもつ自転軸傾斜の謎

 木星や土星、天王星、海王星といった巨大惑星の自転軸がなぜ傾斜しているのかを説明する新しい理論を、A Brunini が提案している。

 太陽系のすべての惑星は、多かれ少なかれ自転軸が傾斜している。

 つまり、惑星は、傾いた軸のまわりを自転しているので、惑星の赤道は公転面上にはない。

 地球はこの自転軸の傾斜角、即ち、「赤道傾斜角」は約 23 度で、これが季節変化を生じる原因となっている。

 地球程度の大きさをもつ惑星の自転軸傾斜角は時間変動しているので、現在の値をとるようになった経緯は謎ではない。

 しかし、もっと大きい惑星の自転軸傾斜角は安定しており、その惑星が形成される際に決まったと考えられる。

 だが、なぜその値をとるようになったのかは不可解な問題とされてきた。

 自転軸傾斜角は、木星の約 3 度から天王星の約 97度までいろいろだが、これらの巨大惑星が太陽系内を移動して現在の軌道を取るようになった際に、巨大惑星どうしの重力相互作用による特定の過程を経て自転軸傾斜角が定まったのではないかと Brunini は考えている。

 巨大惑星はこの移動で、その形成場所から遠く離れたところに落ちついたらしい。

 Brunini は初期条件をさまざまに変えて、若い巨大惑星の動きの計算機シミュレーションを行った。

 そして、そのほとんどで、巨大惑星の自転軸傾斜角は現在の値に非常に近い値となったのである。



 巨大惑星の自転軸の方向(自転軸傾斜)の起源は重要な問題である。

 それは、もし自転軸傾斜が初期値旧帝どの大きさの原子惑星とのかすめる程度の衝突で生じたとするなら、惑星を形成した最も大きな微惑星の質量が関係してくるからである。

 しかし、こうした機構を考える際の問題点は、規則惑星の軌道面が自転軸傾斜とはおそらく無関係になることで、これは観測結果とは相容れない。

 太陽系平面の向きに影響を及ぼした外からのねじれた自転軸傾斜が由来する可能性もあるが、このモデルでは、ねじれを生じた現象の前に、外惑星がありえないほどの球速度で形成されていなければならない。

 また、このモデルは定量的に検証不可能である。

 下記に「初期太陽系における相互作用が巨大惑星の自転軸傾斜の起源である」ことについて報告された内容を示す。
参考文献:
nature Vol 440 | Issue no.7088 | 1089-1244 | 27 April 2006 / Letter p.1163 / Origin of the obliquities of the giant planets in mutual interactions in the early Solar System / ラプラタ国立大学および国家科学技術研究懐疑(アルゼンチン) A Brunini

 本論文では、現在の巨大惑星の自転軸傾斜はおそらく、ある特定の移動過程の間に木星と土星が 1 : 2 軌道共鳴状態を通過したときに生じたことを示している。

 これと異なる移動シナリオでは、観測される大きな傾斜角を説明できないという。

 巨大惑星の規則衛星の存在は、このモデルで問題とはならないらしい。

 それは、規則衛星が惑星形成の直後に形成されたとしても、このモデルで生じる赤道面のゆっくりとした変化に追随できるからであるという。



 …というわけで、今回、宇宙形成の構造を説明する新しいモデルが追加された。
posted by seed at 08:11| Comment(0) | TrackBack(1) | model case | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: axial inclination あるいは obliquity と呼ぶ。この角は天体の自転軸と軌道面の法線ベクトルとのなす角に常に等しいため、赤道傾斜角
Weblog: 天文・宇宙を知る
Tracked: 2007-07-27 09:07
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