2010年12月07日

医学:心疾患のリスク因子を同定

染色体 9p21 上の DNA 領域の 1 つに生じた遺伝的変異は冠動脈疾患の発生率と関連があることが、数年前から知られていましたが、その関連がどのようなものかはまだわかっていません。

それは、問題となる 58 キロベースのゲノム領域に既知のタンパク質をコードする遺伝子が存在せず、冠動脈疾患の関与が知られている主な因子との関連性は一見ないように見えるからです。

今回、この DNA 領域を欠くマウスを用いた実験により、染色体上のこの領域が、約 10 万個の塩基対を隔てたところにある 2 つの遺伝子の心臓での発現を調節していることが明らかになりました。

Cdkn2a と Cdkn2b というこれら 2 つの遺伝子は、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子をコードしており、モデルマウスでこえらの遺伝子の発現を抑制すると、大動脈平滑筋細胞の過剰な増殖が認められました。

この結果は、染色体 9p21 の異変と関連がある心臓疾患感受性の根底に、血管細胞増殖の調節異常があることを示唆しています。


### database ###
nature 464,317-456 18 March 2010 Issue no.7287
Letter p.409 / Targeted deletion of the 9p21 non-coding coronary artery disease risk interval in mice / A Visel et al.(ローレンスバークレー国立研究所およびエネルギー省合同ゲノム研究所:米)

世界の死因の首位を占める冠動脈疾患( CAD )のリスクは、染色体 9p21 上の 58 キロベース( kb )区間の塩基配列多型によって、著しく上昇します。

白人の 4 分の 1 近くがこのリスク対立遺伝子をホモでもつことから、 CAD や生命にかかわるその他の血管疾患の疫学には、この変異がかなり影響を及ぼしています。

しかし、このリスク領域にはタンパク質コード遺伝子が存在していないことから、この区間と CAD リスクを関連付ける機序はこれまで不明でした。

今回、マウス第 4 染色体上のオルソログの関係にある 70 kb の非コード領域の欠失が、隣接する遺伝子の心臓での発現や血管細胞の増殖性に影響を及ぼすことを示しています。

chr4^△70kb/△70kb マウスでは、非コード区間に隣接する 2 つの遺伝子 Cdkn2a および Cdkn2b の心臓での発現が著しく低下しています。

このことは、非コード CAD リスク区間に、遠隔作用性の遺伝子調節的機能があることを示しています。

ヘテロ複合体マウスにおける Cdkn2b 転写物の対立遺伝子特異的な発現は、この欠失が cis 作用性機序によって発現に影響を及ぼすことを示しています。

chr4^△70kb/△70kb の大動脈平滑筋細胞の初代培養は、 CAD 発症を促進する細胞表現型と同じ過剰増殖および老化遅延を示しました。

今回の結果は、 CAD リスク区間が心臓での Cdkn2a/b の発現の調節に極めて重要な役割を果たすことを直接示す証拠となるものであり、この領域が血管細胞増殖の動態を変化させることで、 CAD 進行に影響を与えていることを示唆しています。




posted by 藤次郎 at 21:33| Comment(3) | TrackBack(0) | discovery | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
政景は、存在しなかった。
Posted by BlogPetの政景 at 2010年12月09日 14:58
15日で、政景は、存在しなくなるね…T^T
Posted by 藤次郎 at 2010年12月09日 17:59
おやすみ^^ 今までありがとう^^/~~~



Posted by 藤次郎 at 2010年12月15日 01:33
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