2006年04月14日

ひれが四肢になった時期

 魚類から四肢動物への移行期の化石が見つかった。

 魚類から四肢動物(肢のある脊椎動物)への移行は 3 憶 7000 万年以上前に起こったが、それにはほぼ全身にわたる変化が必要だった。

 これまで話題となった化石の発見や既存の再解釈から、四肢動物への移行に関する見方にはこの 20 年で大きな変化がもたらされた。

 しかし、魚類から四肢動物になるちょうどその移行期の様子は、今もってつかめていない。

 何故なら、その年代の化石は不完全であったり、保存状態が悪かったりすることが多いからである。

 だが、今回で、状況が大きく変わった。

 カナダのデボン紀後期層からほぼ完全な移行型の、見事な新種化石がそっくり保存されて見つかったのである。 

 この化石はひれのある魚類だが、そのひれは腕や手のように曲げ伸ばしができ、また、肋骨は四肢動物のものに似ており、動かせる首や手関節があった。

 この発見によって、魚類から四肢動物への移行期の進化について、今回 2 件の報告が挙げられている。

 古生物学分野では、この化石を見つけるための計画は素晴らしい成果が得られたことから、この移行に関する理解を一気に、しかも大幅に向上させるものだと喜びの声を上げている。
参考文献:
nature Vol 440 | Issue no.7085 | 715-844 | 6 April 2006 / News and Viws p.747 / Palaeontology : A firm step from water to land / Per Erik Ahlberg & Jennifer A Clack

 肢をもつ脊椎動物(四肢動物)と肉質葉状のひれをもつ魚類(肉鰭類)との系統的な類縁関係は十分に確立されているが、進化過程の一連の変化を記録した化石がないため、四肢動物の主要な特徴の起源は未だにはっきりしていなかった。

 下記に「四肢動物に似たデボン紀の魚類と四肢動物の体制の進化」について報告されていたものを示す。
参考文献:
nature Vol 440 | Issue no.7085 | 715-844 | 6 April 2006 / Articles p.757 / A Devonian tetrapod - like fish and the evolution of the tetrapod body plan / 自然科学アカデミー(米) E B Daeschler et al.

 本文献には、カナダ北極地域のデボン紀後期地層から、保存状態の良好なこの肉鰭類の化石を発見したことを報告されたものである。

 この肉鰭類の化石は、ひれをもつ魚類と肢をもつ四肢動物の中間型を表しており、四肢動物の重要な形質がどのような順序でどう生じたかを考察するための重要な手がかりとなる。

 体表のうろこや鱗条、下顎や口蓋はもっと原始的な肉鱗類のものとあまり変わらないが、この新種には、前後後方に短い頭蓋や変形した耳領域、可動性の頚部、機能的な手関節、その他の四肢動物状態の前兆となる特徴もみられるという。

 この新種魚類の形態的特徴と地理的背景からは、浅い海や縁水域、地表で暮らしていたことがうかがわれるらしい。


 四肢動物の肢は、手首や足首、手足の指がある点でひれと区別されるが、これらの特徴の起源を示す直接根拠は未だに得られていなかった。

 今回の発見によって、重要な手がかりが得られた。

 下記に「 Tikaalik roseae の胸ひれと四肢動物の起源」について報告されたものを示す。
参考文献:
nature Vol 440 | Issue no.7085 | 715-844 | 6 April 2006 / Articles p.764 / The pectoral fin of Tiktaalik roseae and the origin of the tetorapod limb / シカゴ大学(米) N H Shubin et al.

 本論文では、四肢動物の姉妹郡の一員である Tikaalik roseae の胸部付属肢について報告されている。

 この付属肢は、形態的にも機能的にも、ひれと肢の中間型である。

 Tikaalik roseae の胸ぶれにみられる遠位軟骨内骨や滑膜関節の広がった配置は、原始的な四肢動物の遠位肢パターンに似ている。

 Tikaalik roseae の胸びれは一定範囲の姿勢をとることが可能であり、その中には、肩やひじが屈曲し、遠位骨格が伸長するような肢様持構造に支えられた姿勢も含まれる。

 これらのことから、四肢の起源には、おそらく、Tikaalik roseae などの魚類のひれに既に存在していた形質の精緻化や増殖・拡大が関係したのだろうと著者たちは推測している。

posted by seed at 08:11| Comment(0) | TrackBack(0) | frontiers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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