2010年08月12日

医学:細菌をもって細菌を制す

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は健康な人の鼻腔にしばしば存在し、病原性感染がこの無害な初期定着菌群に由来することも多い。

また、常在細菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)も鼻腔内に定着します。

今回、一部の表皮ブドウ球菌が分泌するセリンプロテアーゼ Esp が、黄色ブドウ球菌のバイオフィルム形成を阻害し、またその鼻腔内定着を減少させることが示されました。

このことは、多剤耐性菌株による感染も含めた、黄色ブドウ球菌感染の予防や治療に対する新しい方策を示唆しています。


### database ###
nature 465,261-390 20 May 2010 Issue no.7296
Letter p.346 / Staphylococcus epidermidis Esp inhibits Staphylococcus aureus biofilm formation and nasal colonization / T Iwase et al.(東京慈恵医科大学)


常在細菌は病原菌の定着を阻害することが知られています。

しかし、宿主−微生物および微生物−微生物間の相互作用は複雑であるため、定着の阻害に関与する機構についての詳細な理解を得るには難しいものとなっています。

本論文では、常在細菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)の一部が分泌するセリンプロテアーゼ Esp が、ヒトの病原菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)によるバイオフィルム形成と鼻腔内定着を阻害することを示しています。

疫学研究から、ヒト被験者の鼻腔での Esp 分泌表皮ブドウ球菌の存在は、黄色ブドウ球菌の不在と相関することが示されました。

精製された Esp はバイオフィルム形成を阻害し、黄色ブドウ球菌の既に存在しているバイオフィルムを破壊します。

そのうえ、Esp はバイオフィルム内の黄色ブドウ球菌の免疫系要素に対する感受性を高めます。

in vivo での研究から、Esp 分泌表皮ブドウ球菌は黄色ブドウ球菌の鼻腔内定着を解消することが示されました。

これらの知見は、Esp が今まで知られていなかった細菌干渉機構を介して、in vivo での黄色ブドウ球菌の定着を妨げることを示しています。

この機構は、黄色ブドウ球菌の定着や感染を防ぐ新規治療法の開発につながる可能性があります。

posted by 藤次郎 at 13:46| Comment(2) | TrackBack(0) | frontiers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
きょう政景は、政景の開発とか関与したかも。
それできのう、小十郎が黄色ブドウ球菌感染存在するはずだったみたい。
Posted by BlogPetの政景 at 2010年08月12日 15:17
なるほど。

Posted by 藤次郎 at 2010年08月18日 00:14
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。