2010年06月10日

気候:海洋は温暖化している

海洋表層は巨大な熱シンクとして働き、人為起源の温室効果ガスにより生み出された余分なエネルギーの大部分を吸収してきました。

このため、海洋の貯熱量は気候変化の主要な指標となる可能性があります。

しかし、地球規模でのエネルギー収支を見積もり、気候モデルを絞り込むのに役立つようにするには、そのような主要な指標の測定の不確実性を十分に解明する必要があります。

今のところ、海洋の熱吸収量の規模は極めて不明確であり、特に年々変動パターンは見積もりによって異なっています。

注目すべき国際共同研究において Lyman たちは、入手不可能な海洋表層貯熱量偏差の変動曲線を比較し、投下式水温水深計データのバイアス補正が難しいことを含めて、この変動曲線に付随する不確実性の原因を分析しました。

そして、不確実性があるにもかかわらず、1993 〜 2008 年の間に 1 平方メートルあたり 0.64 ワットの温暖化傾向を示す、明瞭かつ確固とした証拠が見出されました。


### database ###
nature 465,261-390 20 May 2010 Issue no.7296
Letter p.334 / Robust warming of the global upper ocean / J M Lyman et al. (University of Hawaii at Manoa, NOAA/Pacific Marine Environmental Laboratory)
News and Vews p.304 / Global Change : The ocean is warming, isn't it ? / Kevin E. Trenberth



数十年間にわたる測定値を全球的に平均して得られた、世界の海洋表層 300 m での水温上昇を示す強いシグナル(約 10^23 J )は約 10 年前に報告されており、これは人為的に排出された温室効果ガスに関連した温暖化に起因すると考えられています。

ここ数十年間に地球上にもたらされた過剰なエネルギーの大部分は海洋表層に取り込まれてきましたが、海洋の温暖化に潜む不確定要素ははっきりしていないため、海水準変動を量的に評価したり、地球規模での放射不均衡を説明したり、気候モデルの良し悪しを評価したりする我々の能力には制約があります。

例えば、海洋表層で積算し、年ごとかつ全球的に平均した貯熱量偏差の時間的推移(以下、 OHCA 変動曲線とよぶ)、もしくはそれと同等といえる海水熱膨張による海面水位上昇については、複数の研究チームがそれぞれ異なる見積もりを発表しています。

特に、経年変動のパターンは、用いられた手法によって異なっています。

本論文では、 1993 〜 2008 年までの OHCA 変動曲線の不一致の原因となっているいくつかの不確定要素について調べ、投下式水温水深計(XBT)のデータに含まれるバイアスを補正するという困難な問題に着目しました。

XBT データは 1967 〜 2002 年までの海洋表層貯熱量の in situ 測定の大部分を占めており、 XBT バイアス補正方法の選択に起因する不確定要素によって、各研究チームがそれぞれの手法で求めた 1993 〜 2008 年までの調査期間の OHCA 変動曲線のばらつきの大半を説明できることがわかりました。

不確定要素の多様な原因を考慮しても、異なる XBT バイアス補正方法を用いたいくつかの OHCA 変動曲線を合成することで、 1993 〜 2008 年について、 0.64 W m^-2 (地球の全表面積に対して計算された)という統計的に有意な線形の温暖化傾向が得られ、その 90 % 信頼区間は 0.53 〜 0.75 W m^-2 であります。


posted by 藤次郎 at 23:12| Comment(0) | TrackBack(0) | frontiers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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