CEA-NBRS より、「秋期の温暖化が引き起こす北半球生態系での CO2 の正味の損失」についての報告が挙げられた。
参考文献:
nature Vol 451 | Issue no.7174 | 1-106 | 3 January 2008
Letter p.49 / Net carbon dioxide losses of northern ecosystem in response to autumn warming / CEA-CNRS(仏) S. Piao etal.
News & Views p.26 / CARBON CYCLE : Sources, sinks and seasons / John B. Miller (update)
THIS ISSUE p.xvii / Autumn warming (update)
陸上生態系の炭素収支は、秋期と春期の気候変化に特に敏感である。
過去20年間で北半球では、春期の温度が約 1.1 ℃、秋期の温度が約 0.8 ℃上昇した。
成長期の長期化と光合成能の上昇を特徴とする緑化傾向もこれと同時に起こったことが観測されている。
これらの観測結果から、今後、春期と秋期の温暖化は、炭素隔離を促進し、正味の炭素吸収が起こる期間がより長くなる可能性があると観測される。
CEA-CNRS の S. Piao らの本論文では、大気中の CO2 濃度データと、生態系の CO2 フラックスの年々移動を分析した。
その結果、過去 20 年の大気の記録から、秋期から冬季の CO2 の蓄積が早く起こる傾向が見出された。
これは、正味の炭素吸収が起こる期間が短くなったことを示唆している。
この傾向は、大気輸送の変化のみでは説明できず、生態系のフラックスデータと併せて考えると、秋期の炭素損失量の増加が示唆される。
S. Piao らは、陸上生物圏のプロセスベースモデルと衛星観測による植生の緑化指標を用いて、秋期の温暖化に対する北半球の生態系の季節応答の観測データを更に調べた。
その結果、秋期温暖化の場合には、光合成と呼吸の両方が増加するものの、呼吸増加量の方が大きいことが見出された。
これに対して、春期温暖化の場合は、呼吸よりも光合成を促進することがわかった。
これらのシミュレーション結果と観測結果は、秋期の温暖化に応答して、北半球の陸上生態系は現在 CO2 を失っている可能性を示している。
その感度は約 0.2 PgC ℃ C^-1 で、春期の CO2 吸収量増大分の 90 %を相殺する。
今後、秋期の温暖化が春期より速い速度で起これば、北半球の生態系が炭素を隔離する能力は、従来示唆されたよりも早く減退するかもしれない。
【discoveryの最新記事】

