2008年06月17日

北極の気候:高所の温暖化

 近年の北極行きの温暖化の鉛直構造が報告された。

 ここ数十年にわたって、全球平均のほぼ 2 倍という大きさで、この現象は「北極増幅(Arctic amplification)」として知られている。しかし、この気温増幅を引き起こす原因はよくわかっていない。

 今回の報告によれば、最近数十年間で引き起こった雪氷面積の減少が、その一因である可能性があるという。

 気候モデルの実験は、全休の気温が上昇すると北極域の雪氷面が後退し、極域で過度の温暖化が起きることを示している。

 雪氷面積の減少はエルベドを変化させ、寒候季における海氷の厚さの減少は、共に海洋から大気への熱フラックスを増加させる。

 一方、海洋循環と大気循環の変化も、雲量の変化と同様に、北極の気温増幅を起こすと考えられている。

参考文献:
nature Vol 451 | Issue no.7174 | 1-106 | 3 January 2008
Letters p.53 / Vertical structure of recent Atctic warming / ストックホルム大学(スウェーデン) R. G. Graversen et al.


 本論文では、再解析データを用いて、20世紀後半の北極域気温変化の鉛直構造を調べ、地表面よりずっと上空での気温増幅の証拠を見出した。

 雪氷からのフィードバックは、1年の大半にわたる上空の温暖化の主要な原因だとは考えにくい、という。何故なら、こうしたフィードバックは大気最下層の気温に主に影響すると予想され、春期のみに観測される温暖化パターンをもたらすからである。

 それゆえ、観測された気温増幅のかなりの部分は、大気最下層より上空の温暖化を引き起こす気候によって説明されなければならない。

 Graversen らは、北極域の温度場を、北極域への大気のエネルギー輸送から回帰推定し、夏季には温暖化の鉛直構造のかなりの部分が、この変数の変化によって説明できることがわかった。

 したがって、大気の熱輸送の変化が、近年の北極域での気温増幅の重要な原因である可能性がある、という。

posted by 藤次郎 at 13:50| Comment(0) | TrackBack(0) | frontiers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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